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『おいしいものは人生に豊かな彩りを与えてくれる』 ルクセンブルクのシェフ、レア・リンスターさんが日本の旅で経験したこととは…?

2018/03/02

料理人のオリンピックと言われる世界最高峰のボキューズ・ドール金メダルを女性として初めて、また唯一受賞したルクセンブルグのオーナーシェフ、レア・リンスターさん。21年ぶりに来日され、日本の食、文化、自然に触れた旅の中で経験したこと、出会った人たちとの交流を通じて感じられたこと、「食」への想いをうかがいました。

 

日本のおもてなしの心に感動しました

banjo2――日本の印象をお話しいただけますか?

「1週間ほどの短い滞在でしたが、素晴らしい経験が盛りだくさんで、中身の濃い旅でした。滞在中にお会いした日本の皆さんは、優しく感じの良い方ばかり。心のこもったおもてなしは、私の心に染み渡りました。前回の滞在から20年以上経ち、様々な分野での日本の発展には目を見張りました。もちろん、おいしい和食や日本酒も堪能しましたし、日本で見たいろいろな商品にも感心しました。大都会の東京や、古い日本の都、京都でもたくさんの印象的な出来事がありましたが、何より深く私の心に残ったのは、万城食品の皆さんにご案内いただいた伊豆のわさび沢の美しさと、わさびとの出会いです」

 

美しい自然の中で育まれるわさびに興味がつきません

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――わさび沢のどんなところが特に印象的でしたか?

「ヨーロッパでも日本の自然は美しいことで知られていますが、今回訪れたわさび沢の風景は、私の想像をはるかに超えたものでした。流れる水の清らかさと、そこで育まれる青々としたきれいなわさびに、すっかり目を奪われてしまったのです。わさびがあんなにも美しい自然の中で栽培される植物だということを、今回の訪問で初めて知りました。わさびのことは、加工食品として認識していましたが、何からどうやって作られているのかも知らなかったんです。わさび沢や万城食品の工場を訪問したことで、生のわさびの繊細な味わいや、ツーんとし過ぎないおいしい食べ方を理解することができました。わさびの存在が私の中で大きくなり、わさびに対する考えは、以前とは全く別のものになりました。美しい自然の中でおいしいものに出会い、楽しい気持ちがどんどん高まっていったのです」

 

「もっとおいしく」「もっとたのしく」の精神に触れて

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――万城食品のブランドスローガン「もっとおいしく」「もっとたのしく」(mots)を実感されたのですね?

「そのとおりです。サメの皮でわさびをすりおろしたり、わさびの葉を生でかじってみたりしたのも、まさに「mots」な体験でした。自社商品のレシピ開発を行っている万城食品のテストキッチンで試食した、万城のわさびをほどよい加減に加えたホイップクリームはとてもおいしかったですし、そこから、スィーツにわさびを使うという新しいレシピの発想が生まれそうで、ワクワクしてしまいます。わさびの他にも、蒲焼きのたれは、是非ヨーロッパに持ち帰って広めたい食材だと思います。また、「motsなひとびと」として万城食品のHPに登場されている「八雲茶寮」の梅原総料理長との出会いも、私にとってたいへん嬉しい出来事でした」

 

料理は言葉を超えたコミュニケーション

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――梅原料理長との交流についてもう少し詳しくお話いただけますか?

「皆さんも、自分と同じ感覚を持った人とはすぐに意気投合しますよね。梅原さんとは、初めてお会いした瞬間から、感性のつながりを感じました。梅原さんが総料理長を務められる『八雲茶寮』に足を踏み入れたとたん、スーッと空間に溶け込むことができたんです。そこはまさに『八雲ワールド』と呼ぶにふさわしい世界。梅原さんの丁寧な仕事が施された料理と食器やカトラリー、家具や調度品、サービスをする人たちのおもてなしなど、お店の雰囲気に統一性があり、バランスがとれているのです。梅原さんの考え方や料理に対する哲学が私の五感に響き、『おいしさ』が『たのしさ』につながっていったんですね。食事が終わるころ、梅原さんと私との距離はさらに縮まりました」

 

おいしいものを味わう経験は人を笑顔にし、人生を楽しく豊かにしてくれます

banjo6――最後にこの旅をふりかえって、レアさんの想いをお聞かせください。

滞在中の1月20日、私の師であるポール・ボキューズ氏が亡くなられ、大変な喪失感を感じました。でも、別れがあれば、出会いもあるのが人生です。私の心にぽっかりと空いた穴を埋めてくれたのは、わさびを通じて万城食品と共有できた「食」への想いでした。誰もが手に入れられる、安全でおいしい食材や商品を提供している万城食品の取り組みや理念は、極力余計なものを加えない自然なおいしさ、シンプルに素材の特性を生かした味を求めている私の哲学と、通じ合うのです。高価なお店で食べることだけがおいしく、楽しい食事ではありませんよね。私はどんな人にも本当においしいものを味わってハッピーになってほしいのです。今回の旅で出会った食材や経験を、国に持ち帰って是非とも私自身の料理の中に生かし、提案していきたいと思っています。おいしいものを味わう経験は人を笑顔にし、人生を楽しく豊かにしてくれますからね。

soup【レアさんの即席レシピ】かば焼きのたれのスープ

■材料
・お湯         180cc
蒲焼きのたれ     15cc
・本わさびあらぎり   6g
潮山葵        3g
・チャイブ   適宜

■作り方

1.スープカップに蒲焼きのたれ、本わさびあらぎり、 潮山葵 を入れる。
2.お湯を注ぎ、チャイブを浮かせる。

 
 

rea-profレア・リンスターさんのプロフィール

1955年4月27日生まれ。ルクセンブルクのレストラン、レアリンスターオーナーシェフ。87年にミシュランの星を獲得し、89年には、フランスのリヨンで2年に一度開催される世界最高峰の料理コンクール、Boucuse d’Or(ボキューズ・ドール)において、金メダルを女性で初めて受賞。2018年1月現在、女性で唯一の金メダル受賞者でもある。以後25年以上にわたり国際料理シーンで中心人物として活躍し、ドイツの有名な番組「The Taste」で2年連続の審査員を務めるなど、テレビ出演や著書も多数。
HP: http://www.lealinster.lu/fr/lea-linster-group/

aoi潮山葵

静岡県伊豆産の本わさびとシャリっとした瀬戸内産の粗塩を組み合わせた新しい食感のわさび塩です。生の本わさびを使用しておりますので、舌にのせてゆっくりと味わっていただくと、辛味の奥から本わさびの深い味わいを感じられます。

tare蒲焼のたれ 匠(80ml)

醤油は高級割烹用に作られたヒゲタ醤油の超特選醤油「本膳」を100%使用。みりんは濃厚熟成本みりんを使用し、鰻エキスでコク味豊かに仕上げた、素材からこだわった蒲焼のたれです。
     
     

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